妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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不妊と視床下部

視床下部は、第三脳室の側方にあり、視床の下方、視交叉と中脳の間に位置し、脳の最深部にあり、系統発生学的には脳の古い部分でその発達の程度は動物によってあまり差がないといわれています。

視床下部のはたらき

視床下部は、 内臓の働きや内分泌の働きを支配し、生命現象をつかさどる自律神経系の交感神経・副交感神経機能および内分泌機能を全体として総合的に調整しています。

  • ホルモンの分泌
  • 自律神経の調節
  • 一定のリズムで行動するためのタイムキーパー
  • 摂食行動や飲水行動の調性
  • 睡眠と覚醒の調節
  • 体温調節
  • 生殖機能の調節
  • 怒りや不安などの情動行動の調節

視床下部ホルモン

  • CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン):副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の合成・分泌促進
  • GIG(成長ホルモン抑制ホルモン):成長ホルモン(GH)の分泌を抑制
  • PRF(プロラクチン放出因子):プロラクチン(PRL)の合成・分泌促進
  • PIF(プロラクチン抑制因子):プロラクチンの分泌抑制
  • TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン):甲状腺刺激ホルモン(TSH)の合成・分泌促進
  • GHRH(成長ホルモン放出ホルモン):成長ホルモン(GH)の合成・分泌促進
  • GnRH(生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン):卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)の合成・分泌促進
  • SAS(ソマトスタチン):成長ホルモン(GH)の分泌抑制

不妊と視床下部

視床下部ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は下垂体下部の神経細胞から分泌され、下垂体門脈を経て、下垂体のLH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促進しています。
GnRHの律動的分泌は、FSH、LHの律動的分泌をもたらしています。持続的投与はゴナドトロピンの分泌をもたらしません。
至適な濃度と律動的投与は生理的ゴナドトロピン分泌をもたらします。これらの現象は、ゴナドトロピン分泌細胞におけるGnRHレセプターの変化によると考えれており、持続的GnRH作用は自己のレセプター数を減少させ、律動的作用はレセプター数を増加し、反応性を上昇させる作用があると考えれています。
律動的GnRH分泌は、月経周期において頻度と振幅が変化しています。例えば、卵胞記前半は低振幅であり、後半には頻度も振幅も上昇し、排卵に至ります。黄体期の頻度は低下し、間隔が長くなるが振幅はさらに増加し、卵胞記より大きな振幅を示し、2週間で少しずつ減少していきます。GnRHは2~4分の半減期をもち、速やかに脳内の酵素で代謝されるため、この律動的分泌が必要であると考えれています。
視床下部からの律動的GnRH分泌を阻害するものとして、消耗性の運動や摂食障害などがありゴナドトロピンレベルは正常または低下します。
体重減少がレプチンの低下を誘発し、視床下部の機能に影響を与えていると考えれています。

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