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潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病の鑑別

潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の鑑別診断は、病理所見のみでは確定診断の根拠とならないため臨床症状、病歴、内視鏡所見、注腸X線検査などを参考に類似症状を呈する疾患を除外したうえで総合的に診断されます。
潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の鑑別は以下のようなポイントがあります。

発症年齢

潰瘍性大腸炎(UC)の発症年齢のピークは10代後半から30代前半で、若年者から高齢者まで発症します。
男性は50代後半から60代前半に小さなピークがみられ、男女比は1:1で性差はみられません。
クローン病(CD)も10代後半から30代前半にピークがみられますが潰瘍性大腸炎(UC)と異なり、40代からの発症は男女ともに極端に低くなります。男女比は約2:1と男性に多いという特徴がみられます。

臨床症状からの鑑別

潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)両者とも下痢、血便、腹痛、体重減少、発熱などを主訴とします。

血性下痢

血性下痢は潰瘍性大腸炎(UC)では主症状ですが、クローン病(CD)では多くはありません。ただし、クローン病(CD)において突然の大出血をきたす場合があるため注意が必要です。

腸管外合併症

腸管外合併症としては皮膚病変(結節性紅斑、壊疸性膿皮症など)、関節痛、硬化性胆管炎などは両者にみられます。

内視鏡所見・注腸X線検査所見からの鑑別

  • 潰瘍性大腸炎(UC)は原則として大腸に限局し、クローン病(CD)は口腔内から肛門まで全消化管に病変がみられます。潰瘍性大腸炎(UC)では回腸末端に炎症が進展したものをbackwash ileitisと呼びます。
  • 潰瘍性大腸炎(UC)は、直腸から連続性の病変を認められますが、クローン病(CD)は非連続性病変(skip lesion)となります。
  • 潰瘍性大腸炎(UC)でもまれに直腸粘膜に病変を認められない場合があります。(rectal sparing:は一般には再燃時に直腸に炎症所見を認めない状態をいい、注腸療法や坐薬などの局所療法によると考えられていますが、初発時にこのような現象がまれにみられます。)
  • 中毒性巨大結腸症(toxic megacolon)は両者に生じるが潰瘍性大腸炎(UC)で多くみられます。
  • 縦走潰瘍、敷石像はクローン病(CD)の特徴的な所見ですが、潰瘍性大腸炎(UC)でもまれにみられることがあります。
  • 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫はクローン病(CD)で認められますが、生検における陽性率は約30%と高くはありません。
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