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潰瘍性大腸炎(UC)の診断基準

潰瘍性大腸炎は、”主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症である”と定義され、潰瘍性大腸炎(UC)の診断基準は厚生労働省の難治性炎症性腸管障害に関する調査研究の”潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針”による診断基準((2021年1月改訂)が用いられています。
潰瘍性大腸炎は、臨床症状のほか、内視鏡検査のうちの1項目、および生検組織学的検査を満たし、下記の疾患が除外できれば確定診断となります。

A・臨床症状

持続性または反復性の粘血・血便、あるいはその既往がある。

B・内視鏡・注腸検査

内視鏡検査

ⅰ)粘膜はびまん性におかされ、血管透見像は消失し、粗ぞうまたは細顆粒状を呈する。さらに、もろくて易出血性(接触出血)を伴い、粘血膿性の分泌物が付着しているか、ⅱ)多発性のびらん、潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。ⅲ)原則として病変は直腸から連続して認める。

注腸X線検査

ⅰ)粗ぞうまたは細顆粒状の粘膜表面のびまん性変化、ⅱ)多発性のびらん、潰瘍、ⅲ)偽ポリポーシスを認める。その他、ハウストラの消失(鉛管像)や腸管の狭小・短縮が認められる。

C・生検組織学的検査

活動期では粘膜全層にびまん性炎症性細胞浸潤、陰窩膿瘍、高度な杯細胞減少が認められる。いずれも非特異的所見であるので、総合的に判断する。寛解期では腺の配列異常(蛇行・分岐)、萎縮が残存する。上記変化は通常直腸から連続性に口側にみられる。

確定診断の例

  1. 臨床症状のほか内視鏡検査または注腸X線検査、および生検組織学的検査を満たすもの。
  2. 内視鏡検査または注腸X線検査、および生検組織学的検査を複数回にわたって満たすもの。
  3. 切除手術または剖検により、肉眼的および組織学的に本症に特徴的な所見を認めるもの。

注)所見が軽度で診断が確実でないものは「疑診」として取り扱い、後日再燃時などに明確な所見が得られた時に本症と「確診」する。

確定診断により除外例

確診例は下記の疾患が除外できたものとする。
細菌性赤痢、クロストリディオイデス・ディフィシル腸炎、アメーバ性大腸炎、サルモネラ腸炎、カンピロバクタ腸炎、大腸結核、クラミジア腸炎などの感染性腸炎が主体で、その他にクローン病、 放射線大腸炎、薬剤性大腸炎、リンパ濾胞増殖症、虚血性大腸炎、腸管型ベーチェット病など。

鑑別困難例

クローン病と潰瘍性大腸炎の鑑別困難例に対しては経過観察を行う。その際、内視鏡や生検所見を含めた臨床像で確定診断が得られない症例は炎症性腸疾患(IBDU)とする。また、切除術後標本の病理組織学的な検索を行っても確定診断が得られない症例は虚血性大腸炎(IC)とする。経過観察により、いずれかの疾患のより特徴的な所見が出現する場合がある。

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