小腸カプセル内視鏡検査
これまでさまざまな方法の小腸内視鏡検査法が考案されてきましたが、いずれの方法も全小腸の観察は困難なうえ患者の負担が大きかいというデメリットがありました。
2000年にカプセル内視鏡、2001年にシングルバルーン小腸内視鏡システムが発表され、現在カプセル内視鏡により小腸疾患の診断・治療が大きく進歩しました。
カプセル内視鏡検査は平成19年10月から日本でも保険適用となりました。
小腸カプセル内視鏡のしくみ
小腸カプセル内視鏡は外形11㎜、全長26㎜の楕円形のカプセルの中にLEDフラッシュランプ、CCDカメラ、無線装置が内蔵されています。
口から飲み込んだカプセルが消化管の蠕動運動によって消化管を通過していき、1秒間に2枚ずつ撮影しながら腹部に装着したデータレコーダーに無線で転送します。
カプセル内視鏡は、7~8時間にわたり約5万枚の画像を撮影し、これを検査後にコンピューターで動画として解析し、医師が診断します。
入院することなく、日常生活を送りながら検査ができ、飲んだカプセルは、排便とともに体外へ排出されます。
小腸カプセル内視鏡検査の適応
以下の症状があって胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査をおこなっても原因がわからない場合。
- 原因不明の消化管出血
- 原因不明の貧血
- 食道、胃、十二指腸、大腸、直腸には何も問題ないが、黒色便が出る。
小腸カプセル内視鏡検査の診断可能な疾患
カプセル内視鏡を使用することで、今まで診断が困難だった以下の病気の早期発見の可能性が高まり、早期治療が可能になりました。
小腸カプセル内視鏡検査で診断可能な疾患には以下のようなものがあげられます。
- 小腸腫瘍
- 小腸ポリープ
- 小腸内の潰瘍
- 小腸内のびらん
- クローン病
- 消化管ポリポーシス
- 蛋白漏出性胃腸症
- 吸収不良症候群
- 腸憩室疾患
- メッケル憩室
小腸カプセル内視鏡検査の実際
- 検査前日は、検査用の食事または消化のよいものを午後10時までに摂取してください。
- 当日は飲食をしないで朝に病院に来ていただきます。
- 腹部にデータレコーダーを装着して準備完了です。
- カプセルを水と共に服用して検査開始となります。
- カプセル内服して2時間後から飲水、4時間後からは食事が可能となります。
- 日中は自由行動で、どこへ行っても構いません。(激しい運動は避ける、MRIなどに近づかない)
- 検査開始から約8時間後(夕方)に再び来院していただき、レコーダーを回収して検査終了です。
- カプセルは排便時に、体外に排出されます。排出されたカプセルは所定の回収バッグに入れ、地方自治体や病院のルールに従い、適切に廃棄してください。
- 約一週間後に検査結果をご説明のため受診します。
小腸カプセル内視鏡検査の合併症
合併症として、カプセルが体外に排出されないことがあります。
2週間以上排出されない場合、小腸内視鏡による回収、困難な場合や病態によっては開腹手術が必要になることがあります。
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