胎盤の剥離と娩出
分娩で赤ちゃんが娩出されたら胎盤が娩出されます。胎盤が娩出さいには特徴的な兆候があります。
胎盤の剥離過程
胎盤は以下のような機序により剥離します。
- 児娩出したあと子宮は収縮します。しかし、胎盤は収縮しないため子宮と胎盤の間にずれが生じます。
- 両者のずれによりもっとも薄弱な脱落膜海面層で断裂が起こります。
- 脱落膜からの出血により血腫が形成されます。これを胎盤後血腫といいます。
- 血腫は徐々に増大し、その結果、胎盤の剥離が促進されます。
- 剥離した胎盤は、子宮の収縮(後陣痛)により子宮下部に排出され、腹圧により子宮頚管、膣を経て膣外に排出されます。
- 骨盤底筋群の収縮、胎盤自体の重さ、胎盤後血腫の重さも胎盤排出を助けます。
胎盤剥離徴候
胎盤が娩出する前、胎盤が子宮壁から剥離する兆候があります。
シュレーデル徴候
児娩出後ほぼ臍の高さにあった子宮底がやや上昇し右に傾き、球状に近かった子宮が細長く前後に扁平になり、子宮下部は膨らんで柔らかくなります。
アールフェルド徴候
胎盤は剥離すると下降するため、それとともに臍帯も児娩出後に比べて陰裂から10~15㎝下降してきます。
キュストネル徴候
恥骨結合の直上の腹壁を手で押さえると、膣外に出ている臍帯が少し圧出されます。胎盤が剥離していない場合は、臍帯は内方へ引き込まれます。
ストレスマン徴候
一方の手で臍帯を持ち、他方の手で子宮底を軽く叩くと、剥離前には打撃の振動が臍帯に伝わるが、剥離後は伝わりません。
ミクリッツ-ラデッキー徴候
剥離した胎盤が膣腔内に達すると直腸を圧迫し便意を感じるようになります。
胎盤の娩出方法
胎盤の娩出方法には以下のようなものがあります。
シュルツェ様式(胎児面剥離)
胎盤の中心から剥離が始まり、しだいに剥離面が拡大していき胎盤の辺縁まで剥離が進み、胎児を包んでいた面が先に娩出される様式。
ダンカン様式(母体面剥離)
胎盤の辺縁から剥離がはじまり、徐々に剥離が進み、子宮壁に接していた母体面が先に娩出される様式。
混合様式(半母体面剥離)
胎盤の一部が母体面で娩出しかかるが、残りは胎児面で娩出される様式。
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