妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
スポンサーリンク

分娩各期の産痛部位の変化

産痛は、おもに子宮筋の酸素欠乏、筋収縮伸展と代謝産物などによる神経末端の刺激によって起こるといわれ、分娩の進行、分娩各期により産痛の部位は変化します。

産痛の発生機序

産痛の発生機序は以下のことが原因とされています。

  • 頚管の開大とそれに関連する展退、伸展および裂傷。
  • 子宮の収縮と伸展。
  • 膣、絵陰および会陰部の伸展。
  • 子宮支持靭帯の伸展。
  • 付属器と腹膜の牽引圧迫。
  • 膀胱、尿道、直腸の圧迫と伸展。
  • 反射的な骨格筋の痙攣。

分娩各期の産痛部位の変化

産痛の部位は、分娩第1期、第2期、第3期で以下のように変化します。

分娩第1期の産痛の部位

おもに分娩第1期の産痛は、子宮頚管の開大、子宮下部の拡張、子宮筋の収縮などが原因であり、それらに関連して下腹部の皮膚や軟部組織、腰部、仙骨部などが刺激さえ痛みが生じます。

分娩第2期の産痛部位の変化

分娩第2期は、膣、外陰、骨盤底筋群などの伸展が主なもので関連痛としてそれらの周辺の皮膚は組織が伸展、牽引、圧迫、裂傷して疼痛を感じます。

分娩第3期の産痛部位の変化

分娩第3期は、胎盤排出のための子宮収縮と胎盤通過による頚管の開大により痛みを感じます。

産痛の強度

一般的に産痛の強さは、陣痛の強さに関連していますが、陣痛の強さは子宮内圧により表現され、分娩が進行するに従って強くなっています。ある研究によると、初産婦で分娩第1期の極期で疼痛が最大となり、経産婦では分娩第2期が最も強くなるとされています。

痛み-緊張-不安が分娩に与える影響

産痛は、分娩時の子宮収縮、軟産道開大、骨盤壁や骨盤底の圧迫、子宮下部や絵陰の伸展などによって生じる下腹部や腰痛などの疼痛の総称で、産痛は、過去の痛みの体験、環境や分化および教育によって形成されたパーソナリティ、分娩に対する心理状態(不安や恐怖など)が影響するといわれています。

  • 分娩の痛みは、産婦の全身の筋肉を緊張させ、子宮口や産道、骨盤底筋群も緊張させます。
  • 産道の抵抗力が高まり、胎児の下降を妨げます。
  • 緊張した骨盤底筋群に向かって胎児を圧迫しようとすれば胎児にもかなりのストレスがかかり、母体の痛みも増強します。
  • その結果、産道は損傷し、子宮、膣、その周辺の筋層と血管の損傷を起こし、出血も多くなります。
  • 恐怖、不安は交感神経を刺激してアドレナリンの分泌を高め、このホルモンの過剰な生産は子宮収縮を妨害し、微弱陣痛の原因となります。
  • 胎盤への血流を低下させ胎児低酸素症の原因となります。
  • さらに過呼吸、低酸素状態、エネルギーの消耗を助長し、多くの無駄な酸素を消費します。
  • 増加した乳酸は、痛みの受容器に作用し疼痛を強めます。
  • 緊張が腹壁の緊張を高め、子宮収縮の効果を弱めます。
  • 全身の疲労は痛みの閾値を下げて痛みの感覚を増強させます。
スポンサーリンク