妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠とサイトメガロウイルス感染症

サイトメガロウイルス(CMV)はDNAペルペスウイルスに属し、通常は乳幼児期、母親から経膣分娩や母乳哺育を介して垂直感染、または家族や周囲の乳幼児の唾液などを介して水平感染し、多くは不顕性感染のまま症状がみられません。
既感染者はCMV抗体を保有しつつ、潜伏感染の状態になっています。
以前はわが国の成人のCMV抗体保有率は約95%とされていましたが、近年は衛生意識の向上により乳幼児期の感染が減少し、CMV抗体保有率は70~80%まで減少したといわれています。

サイトメガロウイルスの感染経路

サイトメガロウイルス(CMV)は飛沫感染、接触感染、性行為感染が主な感染経路で、母体がサイトメガロウイルス(CMV)に感染した場合、35~50%が経胎盤感染にて胎児感染が起こります。そして、約90%が症状を示さない不顕性感染で、約10%に巨細胞封入体症(CID)がみられます。

サイトメガロウイルスの診断と治療

現在、有効な予防法、治療法はありませんし、妊婦へのスクリーニング検査の意義も否定的であるため、スクリーニング検査は行われていません。
不顕性感染のうち10~20%は、後に感音性難聴や精神運動発達遅延などを認めることがあります。
未感染妊婦が妊娠前半期にCMVに初感染すると、胎児に巨細胞封入体症(CID)を引き起こす可能性があるため、この未感染妊婦の増加が課題視されています。

サイトメガロウイルス(CMV)と妊娠

母子感染で主に問題となるのは。母体の初感染であり、未感染妊婦の0.3~1.2%が、妊娠中にサイトメガロウイルス(CMV)に初感染するとされています。
感染児の約10%が顕性感染であり、胎児期、新生児期に特徴的な症状を認めるものは巨細胞封入体症(CID)とよばれます。

先天性CMVの診断・治療

超音波検査で以下のような所見を認めた場合はCMVの胎児感染が疑われます。
胎児発育不全、脳室拡大、小頭症、脳室周囲の高輝度エコー、腹水、肝脾腫などの所見。
CMVが胎児感染したことの診断は、胎児期には羊水中のCMVの検出、新生児期には臍帯血CMV、IgM陽性、生後3週間以内の尿からのCMVの検出によります。
先天性CMVに感染と診断された場合には、抗ウイルス薬による早期治療(新生児期から投与を開始)が有効な可能性があります。

巨細胞封入体症(CID)

巨細胞封入体症(CID)はサイトメガロウイルス感染症の疾患名で種々の臓器に感染し、臓器細胞に核内封入体をもつ巨大細胞が検出されます。
巨細胞封入体症(CID)は胎児期の超音波検査で胎児水腫、子宮内胎児発育遅延(IUGR)などが認められます。
先天性CMV感染症は、感音性難聴(原因不明とされていたもののうち10~30%)、発達障害(25%程度)、てんかん、知能障害、視力障害、運動障害などがあらわれます。

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