妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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先天性心疾患と妊娠

生まれつき心臓の構造になんらかの異常や奇形がある心臓病を先天性心疾患といい、生産児の約1%に発生します。
先天性心疾患でもっとも多いのは心室中隔欠損でついで心房中隔欠損、肺動脈狭窄、ファロー四徴、動脈管開存の順に多くみられます。
超音波画像診断、検査、手術技術などの医療の向上と管理により先天性心疾患患者の生存率は向上し、先天性心疾患で生まれた赤ちゃんのうち90%以上が成人に達するようになりました。
その結果、成人先天性心疾患患者は40万人を超えるといわれ、今後毎年約1万人ずつ成人に達すると考えられています。
そして、先天性心疾患を合併した妊娠の頻度は約40%で、比較的安定した経過をとるケースが多いとされています。

心室中隔欠損症と妊娠

心室中隔欠損症は成人の先天性心疾患の約35-40%を占めます。
心室中隔欠損症とは、左心房と右心房を隔てている心室中隔の一部に先天的に穴が開いている疾患で、その穴の大きさにより症状の出方や程度は異なり、穴が大きい場合は小児期に手術やカテーテル治療が行われます。
子どものころには無症状であっても成長とともにゆっくりと進行し、大人になって症状が出現する場合や健康診断で見つかる場合もあります。
心室中隔欠損症合併妊婦で妊娠前の心機能分類が良好であれば順調な経過をとり、多くの場合は経膣分娩が可能です。
妊娠による負荷のために急激に悪化する可能性もありますので事前が妊娠可能かどうかを専門医に確認をとる必要があり、心臓の定期検診を継続し管理する必要があります。
妊娠・分娩は症状の悪化などに対処できる心臓病専門医のいる病院が望ましいと考えられます。

心房中隔欠損症と妊娠

心房中隔欠損症とは、右心房と左心房の間を隔てている心房中隔の一部に先天的に穴が開いている疾患で乳児期にはほとんど無症状であるため気づかず乳幼児検診や学校心臓検診、職場の検診で心雑音が聴診されたり、心電図の異常から見つかることが多い心疾患です。
心房中隔欠損症は、成人の先天性心疾患の約45%を占め、男女比 1:2で女性に多く、治療せずに放置すると左心房の血液が右心房へ流入してしまい肺へ流れる血液が増加して右心房と右心室が拡張してしまい、肺高血圧を生じることもあります。
手術による治療法とカテーテル治療法があります
肺高血圧が起こらなければ良好な経過をたどり合併症がなければ特別な治療の必要性はありません。

動脈管開存症と妊娠

動脈管はボタロー管ともいい、胎児期において肺動脈と大動脈とを繋ぐ血管で胎内では開いており、生後10~15時間で自然閉鎖します。(完全閉鎖には、生後3週間程かかります。)
動脈管開存症とは、生後自然に閉じるはずの動脈管が自然閉鎖せずに肺動脈と大動脈がつながったままの状態になる先天性心疾患です。
治療法は開胸手術とカテーテル治療があります
動脈管開存症合併妊娠のうち小さな動脈管開存症の場合はとくに問題なく良好な経過とたどりますが、大きな動脈管の開存がある場合には心不全、不整脈や肺高血圧症になることが多く、母体への影響も大きく妊娠により悪化することがあります。

母体の管理

ファロー四徴症とは、心室中隔欠損、右室流出路狭窄(肺動脈弁狭窄)、大動脈騎乗、右室肥大の4つを特徴とする先天性心疾患です。
ファロー四徴症修復手術後の長期生存成績はよく、妊娠も注意して管理を受けていれば特に問題ないとする報告がほとんどです。しかし、低酸素血症に伴う胎児発育不全が多いという報告もあります。
合併症を認める場合には、抗不整脈薬や利尿剤、強心剤などの投与を必要とする場合や重症の場合には妊娠の中断がやむを得ない場合もあります。
妊娠を考える場合は専門医の診察を受け、相談する必要があります。

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