新生児の生理的黄疸
黄疸とは、血液中のビリルビンという物質が増えることにより皮膚や眼球結膜が黄色く染まってみえることをいいます。
新生児のほとんどに生後2~3日より皮膚の黄染が出現し、生後4~5日にピークとなり、その後減少し、生後7~10日で消失します。これを新生児の生理的黄疸といいます。
胎児期は、ビリルビンの代謝は胎盤を介して母親の肝臓において行われていたものが、出生と同時に自分自身の肝臓で行わなくてはなりません。
新生児生理的黄疸は、胎児から新生児への適応過程によって起こります。
新生児の生理的黄疸が起こる理由
新生児生理的黄疸は、大きく分けてビリルビン産生の亢進とビリルビンの処理機能の低下によって起こります。
ビリルビン産生の亢進
- 新生児は生理的に多血症です。
- 胎児ヘモグロビンが有する赤血球寿命は85~90日と短い。
ビリルビンの処理機能の低下
- 腸管から吸収され再び肝臓に戻る腸肝循環が盛んです。
- 肝臓が未熟でグルクロン酸転移酵素の活性が低い。
- 母体-胎盤から移行してきたエストロゲンがビリルビンの排泄能を低下させている。
その他
- ビリルビンを肝細胞に取り込み、代謝系に運ぶY-蛋白が新生児では十分でない。
- 動脈管が開存し、肝臓をバイパスとした血行が続いていることがある。
- 出生時に好発する低血糖や低酸素症が肝臓の機能に悪影響を与える。
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