妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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胎児から新生児の免疫の変化

子宮内は無菌状態で胎児は抗体産生機能は不十分な状態にあります。
出生すると菌が存在する環境で生きていくことになります。

胎児の免疫

免疫は自然免疫と獲得免疫に分けられます。
自然免疫系は単球、リンパ球、好中球、好塩基球、好酸球などが、獲得免疫にはT細胞、B細胞などがあります。

自然免疫

ヒトは微生物に対して、初感染の時点から自然免疫として対抗する力をもっていることがわかっています。しかし、自然免疫系も出生直後は十分な機能は発揮されません。出生時に好中球のプールの大きさは成人よりも小さく、機能面でも新生児好中球の遊走性(自由に動き回る力)の低下があります。
自然免疫のもう1つの主役である単球の末梢血の数は、出生後24時間がピークで、生後1週目は1300~2200/㎜3、3週で700/㎜3、その後、6歳までに450/㎜3と低下していきます。
ウイルス感染防御に働くNK細胞も新生児ではIFN 産生の低下が知られています。

獲得免疫

胎児期のT細胞は、胎盤由来のもので細胞障害性が抑えられているため、細胞性免疫抑制の状態にあることから感染に対して弱点を残している状態にあります。また、新生児T細胞は外来抗原刺激を受けたことがないた、感染症などに迅速に対応できません。
また、新生児のB細胞のIg G交代産生能もきわめて低いことがわかっています。
成熟したIgG 、IgM抗体産生を行うプラズマ細胞は、出生後に小腸に出現し、IgAは生後4日に末梢血で出現し、その後プラズマ細胞の成熟は比較的急速で生後4~6週間で成人のレベルのIgA産生が可能となります。

母体からのIgG移行

免疫グロブリンの胎盤移行は12週ごろからから始まり、その後徐々に増加し正期産児の血中濃度は成人を超えるといわれています。移行したIgGは胎内で胎児を母体由来の抗原刺激からも守っています。移行したIgGの半減期は20日です。IgA、IgMは通常移行しません。

呼吸開始に始まる感染防御

新生児の第一呼吸と同時に空気中に含まれている微生物などを体内に取り入れることになります。
その防御機能の一つは、鼻が行い、粘膜上皮にとられられ、粘液絨毛機能により排出されます。この粘液絨毛機能は出生前に作られてはいますが、成人レベルになるには数週間かかります。
肺の免疫防御機能の主役は肺マクロファージなのですが、出生時にはほとんど出現しておらず在胎30週以上なら生後48時間で現れます。その機能は肺サーファクタントで増産され、遊走能および貪食が強くなります。また、肺胞隔壁および上皮下には常に樹状細胞が存在し、この樹状細胞はマクロファージの100倍という強い抗原提示力があり、防御の最前線で働いています。肺はリンパ球が豊富で炎症でその数は急速に増大し、肺胞内に出現し、肺炎などになった場合、防御に働きます。

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