妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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胎児から新生児の呼吸の変化

胎児期においてガス交換は胎盤で行われ、出生するとすぐに赤ちゃんは自分で呼吸することになります。
子宮内では胎盤でガス交換が行われているため胎児の肺は呼吸器官として働く必要がありませんが、出生と同時に胎盤血流が絶たれると肺での呼吸へと変化します。
肺での呼吸の確立は子宮外生活適応にとって最も重要です。

胎児の呼吸

胎児は、成長に必要なエネルギーなどの全てを母体に依存し、これらは胎盤を通して供給され、胎児の呼吸機能も同様に、胎盤におけるガス交換という形で行われています。
臍帯の中の動脈で胎児から運ばれた二酸化炭素は胎盤で母体へ渡され、代わりに受け取った酸素を臍帯の中の静脈を通って胎児へ送られます。
ただし、胎盤は胎児の絨毛が母体血のプールにつかっているような構造になっているため、母体血と胎児血が直接混じることはありません。

胎児の呼吸様運動

胎児は、出生前から子宮外生活への準備として呼吸筋を使用した呼吸様の運動を行っています。
呼吸様の運動を妊娠10週くらいから出現し、妊娠30週以降では呼吸様運動が出現している時間は1日のうち10~50%といわれています。
呼吸様運動は、実際のガス交換には関与しておらず、持続時間が短く呼吸が浅いこと、睡眠中にみられる、低酸素状態で抑制されるなどの特徴があります。

呼吸中枢

出生後、呼吸をコントロールするための呼吸中枢の機能は胎児期において十分に成熟しています。ただし、子宮内において呼吸は行われないのは上位の呼吸中枢が呼吸中枢を抑制しているためです。

肺サーファクタントの産生

胎児期の肺胞は肺水で満たされていています。
出生後、肺胞の中の肺水が空気に置き換えられるので肺胞は容易に虚脱し、それを防ぐ役割を担うのが肺サーファクタントです。
胎児の肺は、妊娠33~35週になると肺サーファクタントが本格的に産生され、出生後の肺呼吸に備えます。

出生直後の呼吸の変化

出生後、胎児の頭が出てくると胎児の胸部が産道に圧迫され、肺、気道内の分泌物が鼻や口などから自然に排出されたり、吸収されます。胸部が狭い産道を通り抜けると肺は圧迫から解放され、呼吸筋による胸郭の拡張が起こり外の空気を肺で吸い込みます。これが第1吸気です。
第1吸気に続いて出生直後の第1呼気が起こります。これが赤ちゃんの第一声です。この時、胸腔内は陽圧に変化し、第2呼吸へ続き、呼吸が繰り返され肺呼吸が確立します。
従来、新生児の第1呼吸は、出生時の寒冷刺激や胎盤から離れることによるガス交換の低下によって児へ二酸化炭素が貯留すること、胎児呼吸様運動などが出生後の呼吸の確立に大きく影響していると考えられていますが、最近では、胎盤から出る何らかの物質が胎児の呼吸を抑制しており、胎盤から児が離れることで影響がなくなり、持続的な呼吸が開始されると考えられています。

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