妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠中のカフェイン

カフェインはアルカロイドという化合物の仲間で、1820年にコーヒー豆より発見され、眠気覚ましなどの興奮作用や尿の排出を促す利尿作用などが広く知られていますが、このほかにも「自律神経の働きを高める」「集中力を高め作業能力を向上させる」「運動能力を向上させる」など様々な効果が明らかになっています。
カフェインが脳に届くのは約30分後で効果が持続するのは8~14時間程度とされます。

カフェインの中毒

カフェインには中毒性があり、多量に摂取することで下記のような様々な中毒症状があらわれから過剰摂取には注意が必要です。
カフェインをどれくらい摂取すると中毒症状が現れるかは個人差がありますが、成人の場合には、1日100~300mgを1日に数回に分けて飲むことが大切だといわれています。
ただし、少量の摂取しかしない人でも起こるといわれていますので下記の症状がみられる場合には量を減らすか、間をあけるなどの配慮が必要だといえます。

  • 落ち着きがなくなる
  • 神経過敏になる
  • 興奮する不眠になる
  • 顔面が紅潮する
  • トイレが近くなる
  • 胃腸の調子が悪くなる
  • 筋肉がピクピクする
  • 考えや話にまとまりがなくなる
  • 動悸、不整脈が起こる
  • 疲れを感じにくくなる
  • 不穏になる

妊娠中のカフェイン

アルコールと同様にカフェインも胎盤を通過し胎児に移行します。
胎児は肝臓の機能が未熟なためカフェインを排泄できずに胎児の体内に高濃度のカフェインがとどまることになります。
妊娠とカフェインについてはさまざまな調査が行われています。
流産、死産率については、カフェインの摂取量が1日150mg未満の妊婦に較べて300mg以上摂取する妊婦の流産のリスクが2倍に、コーヒー1日8杯以上で死産のリスクを高めるという報告があります。
胎児は肝臓の機能が未熟なためカフェインを排泄できずに胎児の体内に高濃度のカフェインがとどまることになります。
カフェインは胎盤を流れる血液の量を減少させますが、胎児発育との関連性のついては関連があるという報告と、ないという報告の両方があり、いまのところは結論がでていません。

妊娠4週から妊娠7週末の薬の影響

胎芽の主要な器官が形成、分化していく時期にあたるため薬の影響を受けやすく、大きな形態的奇形の発生頻度の高い時期であるため臨界期といわれ、とくに注意が必要な時期にあたります。
この時期には、赤ちゃんの中枢神経や心臓、消化器、四肢など体の重要な器官が形成され、器官や機能に奇形を起こす可能性があることを催奇形性といいます。
この時期に催奇形性の高い薬を服用すると他の時期よりも赤ちゃん影響が出る可能性が高くなります。

カフェインに関する食品健康影響評価関連基礎資料

平成21年度食品安全委員会が自ら食品健康影響評価を行う案件候補についての中に、カフェインに関する食品健康影響評価関連基礎資料というものがありますので抜粋します。

危害要因の概要

器官の分化は終了していますから形態的な大きな奇形の心配はほとんどありません。
しかし、中枢神経系、生殖器系、感覚器系、その他の臓器も形態的、機能的に発育していますからこれらの発育や発達が抑制され、その結果として、外性器異常、知能障害、子宮内発育障害、呼吸障害などをきたす危険がありますからやはり注意が必要です。
また、飲む時期によって胎児に悪影響を及ぼす薬もあります。

危害要因の概要

  1. カフェインは、コーヒー豆、茶葉などに含まれる物質で中枢神経興奮作用を有し、眠気の除去などに用いられている。
  2. カフェインの摂りすぎにより、妊婦においては自然流産の可能性があり、感受性の高い者においては不眠、頭痛、神経過敏などの影響があるといわれている。
  3. 健康な成人に比べて、子供の行動に及ぼすカフェインのリスクは高く、また、妊娠適齢の女性の生殖に及ぼすリスクも高いといわれている。
  4. コーヒーのカフェインが300mg/日を超えると流産率が2倍になるとの報告がある。
  5. 妊娠期間中のコーヒー摂取は胎児死亡リスク、特に妊娠20 週以降の胎児喪失と関係があるとの報告がある。
  6. 高用量のカフェイン摂取は、妊娠関連症状に関係なく流産のリスクを増加させることが示唆されている。
  7. 妊娠期間中のカフェイン摂取と胎児の低体重のリスクの増加に関連性があるとの報告がある。

リスク管理の現状

  • 世界保健機構(WHO)が、紅茶、ココア、コーラ飲料は、ほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはこれらの約2 倍のカフェインが含まれている。このため、カフェインの胎児への影響についてはまだ確定していないが、妊婦はコーヒーの摂取量を一日3~4杯までにすべき、としています。
  • 英国食品基準庁(FSA):妊婦のカフェインの摂りすぎにより低体重での出生となり、後の健康状態のリスクが高くなる可能性があること、高濃度のカフェインは自然流産を引き起こす可能性があることなどから、妊娠した女性に対し、カフェイン最大摂取量を300mg/日から200mg/日に制限するよう求めている
  • カナダ保健省:カフェインの1日最大摂取量に関するファクトシートを公表(2006)。 感受性の高い者に対して、不眠、頭痛、神経過敏などの影響があることから、カフェインの一日最高推奨摂取量を12 歳以下の子供に対して2.5mg/kg 体重/日、妊娠適齢女性に対して300mg/人/日、健康な成人においては、400~450mg/人/日とした。また、カルシウム摂取量が十分であれば、カフェインの骨に対する副作用を阻止できるとの見解を示した。
  • フィンランド食品安全局:妊婦、子供、カフェイン感受性の高い消費者を対象に高カフェイン含有飲料(150mg/L 超)、菓子、ガム、チョコレートバー、健康食品に警告表示を義務付けている。
  • スイス連邦保健局(BAG):妊娠中及び授乳中の食事に関する一般向けパンフレットで「コーヒーは一日2~3 杯までとする」、「他のカフェイン含有飲料(緑茶、紅茶)はほどほどにする」との妊婦への助言を掲載。
  • オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ):2000 年に「カフェインの安全性」と題するワーキンググループの報告書を公表。特段の健康リスクについては言及なし。カフェインの添加についてオーストラリアの上限値は145mg/kg、ニュージーランドは200mg/kg。 また、2009年10月、オーストラリア・ニュージーランドの食品規制閣僚会議はカフェインの再評価を進めることで合意。
  • 1日に200㎎以上のカフェインを摂取する女性は、全くカフェインを取らない女性に比べ、流産の確率が2倍になることが分かった。200㎎のカフェインは、約220mlのカップで2杯分のコーヒー、または350ml缶入り炭酸飲料5本分に含まれる量に相当する。
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