妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠に伴う甲状腺の変化

甲状腺ホルモンは、妊娠から分娩の期間に変化します。

妊娠にともな甲状腺ホルモンの変化

甲状腺ホルモンは、T4(サイロキシン)とT3(トリヨードサイロニン)の2種類があり、甲状腺ホルモンの産生は脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調節されています。

妊娠中の下垂体甲状腺刺激ホルモン(TSH)の変化

下垂体甲状腺刺激ホルモン(TSH)の基本的分泌は妊娠経過に伴う変動はほとんどなく、非妊時の正常範囲内からやや高めのレベルとなります。
下垂体甲状腺刺激ホルモン(TSH)に対する下垂体の反応性にも変化は認められませんが、妊娠後期においてやや低下がみられます。

妊娠中の甲状腺ホルモンの変化

甲状腺ホルモン(T3・T4)は間脳ー下垂体ー甲状腺系で調整されています。
妊娠時は胎盤から分泌されるhCT(human chorionic thyrotropin)が甲状腺刺激作用をもち、非妊時の調節機構に修飾が加わりますが、正常妊娠では血中遊離型甲状腺ホルモンのわずかな変動がみられるにすぎません。
hCTにも甲状腺刺激作用が認められますがその作用は弱いものです。
妊娠により血中総T3・T4濃度は初期から増加し、末期まで高値となります。これは胎盤からのエストロゲンにより肝臓で産生されるサイロキシン結合グロブリ(TGB)が非妊時の2倍まで上昇することにより、結合型甲状腺ホルモンが増加するためです。
遊離型T3・T4濃度は妊娠初期に増加し、その後漸減し、非妊時と同程度かやや低値にとどまります。

分娩後の甲状腺ホルモンの変化

妊娠が終了すると胎盤由来のエストロゲン濃度が低下するためサイロキシン結合グロブリ(TGB)濃度も減少します。
サイロキシン結合グロブリ(TGB)が低下するとそれまで結合していたT3・T4が血中に遊離型として放出され、fT3・fT4濃度が増加します。
このことから、分娩前に甲状腺機能亢進症があり十分にコントロールできていない場合はどは、分娩後に大量のfT3・fT4が血中に放出されることとなり、甲状腺クリーゼをきたすことがありますから注意が必要です。

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