妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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心疾患合併妊娠の管理

心疾患合併妊婦の妊娠管理は、心機能評価、安静、食事などにより生活活動の制限、労働は最小限とし、睡眠を十分にとり、食後の安静など毎日一定の休養とるよう指導がおこなわれます。

心疾患合併妊婦の妊娠管理

  1. 心機能評価(心電図、超音波、胸部X線検査などの検査):少なくとも妊娠初期(妊娠継続の可否)と妊娠28~30週(分娩時期や方法の選択)頃には無症状であっても評価しておく必要があります。
  2. 安静:非妊娠時、運動や生活に制限がない場合でも、妊娠中は負担が増えるため安静に心掛ける必要があります。
  3. 食事:貧血は心臓への負担を増すため鉄分やミネラル、ビタミンの摂取に注意し規則正しい食生活に心がける必要があります。ただし高血圧に対しては極端な塩分制限は行なわない。

心疾患合併妊婦の妊娠初期の管理

妊娠3ヵ月までに心機能の評価として、心エコー、胸部レントゲン、心電図、動脈血分析などを行い、必要であれば入院しポータブル心電図などの精密検査が行われます。

心疾患合併妊婦の妊娠中期の管理

心疾患合併妊婦の妊娠中期の母体と胎児は以下のように管理されます。

母体の管理

妊娠30週にかけて循環血液量の増加、心拍出量の増加により妊娠中で最も心臓の負担が強くなる時期であるため、再度心機能の評価がおこなわれ必要があれば入院しベット上安静や減塩管理が行われます。

胎児の管理

先天性心疾患合併妊婦より出産した児には同様に先天性心疾患を合併する確率が通常の発生率よりも若干高いことが知られているため、両親いずれかに心疾患を有している場合には妊娠18~20週前後での胎児超音波検査において、特に先天性心疾患の有無に注意が払われます。

心疾患合併妊婦の妊娠後期の管理

生活活動の制限、労働は最小限とし、睡眠を十分にとり、食後の安静など毎日一定の休養とるよう指導がおこなわれます。
食事は心負荷の軽減のため、不必要な体重増加を避けるよう摂取カロリーに気をつけ、塩分制限を行い、高たんぱく食、貧血予防のために鉄分を多く含む食事を摂取するよう心がけるよう指導がおこなわれます。
風邪や尿路感染症などの感染症に気をつけ、症状があれば早めに医師に報告し、心労作を増すことによる急性心不全の防ぐ必要があります。

心疾患合併妊婦の分娩管理

経腟分娩を原則し、母体の心機能が悪化する場合は、児の成熟や分娩の進行にかかわらず帝王切開を選択されます。

心疾患合併妊婦の分娩前の管理

分娩予定日2~3週間前より入院し、心身の安静をはかります。
また、医師によっては分娩前より抗生物質を投与し亜急性細菌性心内膜炎予防がおこなわれます。

心疾患合併妊婦の分娩中の管理

心疾患合併妊婦というだけで予定帝王切開をおこなうことは少なく、産科的適応に従って判断がなされます。
経膣分娩が原則ですが産科的適応のあるものや大動脈縮窄症、高血圧心不全心疾患、脳梗塞の既往、大動脈瘤などがある場合は帝王切開がおこなわれます。
帝王切開となる場合は、循環動態の変化を最小限にとどめるため硬膜外麻酔もしくは全身麻酔を選択されることが多いようです。

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