妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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胎児循環

循環とは、酸素や栄養を含む血液を各組織に運んでいくことをいい、循環には血液に酸素を取り込む肺循環と身体の各組織に送る体循環があります。
胎児循環には3つの特徴があります。

胎児循環とは

胎児循環は、胎盤で母体の血行から酸素や栄養をもらった動脈血は1本の臍静脈を通って胎児の体内に入り、一部の血液は肝臓を通って下大静脈に入り、大部分の血液は静脈管(アランチウス管)を経て下大静脈に入り右心房に達します。
胎盤からきた酸素と栄養素を豊富に含んだ血液と下半身から戻った静脈血とが混ざった血液である下大静脈の血液は、右心房から卵円孔を通って左心房に入り、次に左心室へ入って大動脈へ流れます。
一方、上半身から戻った酸素が乏しい血液は、上大静脈から右心房を経て右心室に入り、肺動脈へ流れていきます。肺動脈血は動脈管(ボタロー管)を経て下行動脈に流れるが一部は肺静脈から左心房に戻り左心室にながれます。
左心室から大動脈に流れこんだ血液は心臓、脳、上肢へ流れ、また動脈管から入ってきた血液と混ざって下半身を還流する下行動脈へ流れます。下行大動脈血の一部は腸管から門脈、肝臓を経て下大静脈へ、一部は腎臓・脾臓、下肢などを還流して下大静脈へ、残りは内腸骨動脈から2本の臍動脈を経て胎盤へ流れ込みます。
このように胎児循環では肝臓・脳・心臓は酸素飽和度の高い血液が環流し、下半身は酸素飽和度の低い血液が環流しています。

胎児循環の特徴

胎児の肺は呼吸をしていないため、肺血管は収縮しており、閉じているような状態にあります。肺血管抵抗は高く維持されていて肺へ血液が流れにくい状態になっています。
そのため右心室から駆出された血液のわずか10%前後しか肺循環へ駆出されません。残りの90%の血液は、動脈管(ボタロー管)を通過して下半身へ駆出されます。
一方、体血管抵抗は血管抵抗の低い胎盤循環が存在するため、低く保たれており体へ血液が流れやすい状態にあります。
胎盤で母体とのガス交換や物質交換のあと、臍帯血は臍帯静脈を経て静脈管(アランチウス管)を通過し、下大動脈、肝静脈と合流した後、右心房へ達します。
酸素含有量の多い臍帯静脈血は、より選択的に卵円孔を通過して左心房へ還流し、酸素含有量の少ない下大静脈血や上大静脈血は選択的に三尖弁を通過して右心室へ還流します。
左心室から拍出される酸素飽和度の高い血液の大半は脳から上半身へ供給されます。一方、右心室から拍出される酸素飽和度の低い血液のほとんどは下半身に供給されます。これは少ない酸素を有効に胎児の脳へ送る効率のよいシステムといえます。

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