妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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胎児の呼吸

胎児は、発育に必要な栄養のすべてを母体に依存して成長していますが、これらは胎盤を介して母体から供給されます。
胎内における胎児の呼吸機能も同じように胎盤におけるガス交換という形でおこなわれています。
胎盤における母児間のガス交換は、以下のような形でおこなわれます。

胎児の胎盤におけるガス交換

胎児は新生児の肺呼吸とは異なり胎盤においてガス交換がおこなわれ、母体血から酸素を受け取り二酸化炭素を母体側に放出しています。
胎盤におけるガス交換の機序は、胎盤の絨毛間腔で母体と胎児の血管の間でガス交換が行われます。
母体動脈の酸素分圧に比べて、胎児側の臍帯静脈の酸素分圧は低く、この勾配により母体血の酸素は胎児血に移行します。同様に胎盤での二酸化炭素の移行も主に圧勾配によりおこなわれます。
臍帯静脈血の二酸化炭素分圧は母体血より高く、二酸化炭素の拡散能は酸素の200倍もあるため胎盤での胎児血から母体血への二酸化炭素の移行は容易におこなわれます。また、酸素と結合していないヘモグロビンは二酸化炭素と結合しやすいため母体血は酸素を放出することによってヘモグロビンが胎児血の二酸化炭素とより結合しやすくなります。
胎盤を介しての胎児呼吸は以下のようにおこなわれています。
まず、母体血は子宮動脈から子宮内膜らせん動脈を経由して縦毛腔に入り、ジェット状に絨毛を還流します。
一方、胎児血は臍帯動脈から胎盤に入り、絨毛上皮において酸化されて臍帯静脈に入り胎児に還流します。
胎児循環は、胎児心拍出量の約45%を占め、質、量ともに非常に重要で実際の胎盤におけるガス交換は拡散という形式でおこなわれています。
このような機構により胎児は胎内においては胎盤を介して呼吸をしていますが、本質的な意味での呼吸機能は有していません。

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