新生児のおう吐
新生児の胃は、容量が小さく、円柱に近い形で食道と胃の境界部である噴門部の機能が未熟なため、体動などによりおう吐しやすい状態にあります。
哺乳のときに空気の嚥下が多いとゲップとともに吐くことがあります。また、母乳、ミルクの飲み過ぎのため吐く赤ちゃんもいます。このようなおう吐は、哺乳のしかた、赤ちゃんのケアのしかたにより対応でき、体重増加が悪くなることは通常はありません。
ミルクを飲んでいる赤ちゃんで空気の嚥下が多い場合は、乳首のサイズ、固さを変えたり、穴を少し大きくしたりすると空気の嚥下が少なくなることがあります。
新生児期にみられるおう吐の主な原因
- 溢乳:空気嚥下、哺乳量の過多、哺乳の抽劣など。
- 消化管通過障害:肥厚性幽門狭窄症、噴門弛緩症、食道裂口ヘルニア、血管輪など。
- 消化管閉塞:ヒルシュスブルング病、腸重積など。
- 頭蓋内病変:頭蓋内出血、髄膜炎、核黄疸、奇形など。
- 感染:腸炎、咳をともなう呼吸器感染症など。
- 代謝性:副腎過形成、ガラクトース血症、有機酸代謝異常症など。
- 薬物・毒物の服用
新生児の心配なおう吐
新生児は、胃や食道などの特徴からもおう吐しやすいく、溢乳や吐乳の多くは生理的な現象であるといえます。しかし、体重減少や脱水を伴うほどの頻回のおう吐や胆汁や血液が混じるおう吐、さらに腹満(おなかがパンパンに張っている状態)を伴うおう吐などの場合は緊急に受診する必要があります。
何らかの疾患があって起こるおう吐は、吐き気を伴い、噴水状おう吐や泡沫状おう吐などがあります。
受診が必要なおう吐かどうかの判断のポイントは、
- 大量におう吐する。
- 胆汁様のおう吐が持続する。
- 1日に5~10回以上の頻回のおう吐がある。
- 口唇の乾燥や舌の乾燥などの脱水症状がみられる。
- おう吐以外に何らかの症状がみられる。
- 機嫌が悪く、元気がない。
- おっぱいやミルクの飲みが悪い。
- いつもと違ってなんとなくおかしいと感じる。
新生児の吐物による違い
- 羊水様:初期嘔吐
- 泡沫様:食道閉鎖
- 淡黄色:突発性おう吐
- 乳汁様:胃・食道逆流現象、肥厚性幽門狭窄症、空気嚥下、授乳琺の過誤
- 緑色:十二指腸閉鎖、狭窄、空腸閉鎖、腸回転異常、ヒルシュスブルング病
- 便汁:下部腸管閉鎖、狭窄
- 血性:新生児メレナ(真性・仮性)、腸重積、腸回転異常
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